フランスパンとは

フランスパンとは

フランスパン

フランスでは、12世紀頃には既にパリ近郊で小麦栽培が普及し、風車や製パン所があちこちに点在していたといわれています。長年、田舎の主婦の大事な仕事であったパン作りは、16世紀から17世紀頃、次第に増加した街のベーカリーによって次第に男性の仕事になっていき、また18世紀には小麦の製粉工程で初めての篩い分け作業がフランスで行われており、中央に切れ目を入れた長い生地のパンが現れたのもこの頃であったようです。

農業国でもあるフランスでは現在年間3000万トン以上の小麦が生産されており、その約半分が輸出されていますが、国内での製粉用としても600万トン近くが消費されており、1人当たり年間60kg以上の小麦粉が食用として消費されています。また、フランス国内で販売されるパンの約6割が手作りベーカリーの製品で、今も手作りのパンが中心を占めているといえます。

フランスではデクレ(Décret)といわれる政令でパンに関する規則が定められており、例えば、店舗内で小麦粉から生地を捏ね、発酵させて焼いて販売する店でなければブーランジュリー(boulangerie)と名乗ることはできません。

代表的なものはパン・トラディショネル(Pain traditionnel)

一般的にいうフランスパンがパン・トラディショネルと呼ばれるバゲット(Baguette)やバタール(Batard)などのパンで、フランスではパン・トラディショネルと称することができるパンの条件もデクレで定められています。食べ方は様々であり、朝昼晩どの食事でもおいしく、またサンドイッチもおなじみです。

パン・トラディショネルは焼き立てを味わうパンです。それだけに贅沢なパンともいえます。時間が経つほど香りも味も落ちてきます。機械ではできない手づくりのおいしさ新鮮さこそ命です。焼き上がってから1~4時間後くらいの間に召し上がるのが理想的ですが、翌日召し上がる場合は、「戻り」が出てクラストの引きが強くなっていますので、オーブントースターに入る長さにカットし、上面が焦げないようアルミホイルを乗せて3~4分焼き戻して下さい。焼き立てに近いおいしさが蘇ります。スライスする場合は焼き戻した後でスライスして下さい。それよりも長く保存する場合は、やはりオーブントースターに入るサイズにカットしてラップフィルムかポリ袋等で包んで冷凍保存し、常温で解凍してから同様に焼き戻して下さい。

パン・トラディショネルは重量や長さによって次のような種類に分かれます。尚、このパンは特に火通り良く焼きますので、焼き上がった製品の重量は下に書いている生地重量の75%~80%位になります。

名 称 生地重量 長 さ
ドウ・リーブル(Deux-Livres) 850g 35~40cm
パリジャン(Parisien) 600g 67~68cm
バゲット(Baguette) 350g 67~68cm
バタール(Batard) 350g 40~41cm
エピー(Épi) 350g 60cm
フィッセル(Ficelle) 150g 30cm
ブール(Boule) 50~350g
クーペ(Coupe) 50g 8~9cm
フォンデュ(Fendu) 50g
タバチェ(Tabatiere) 50g
シャンピニオン(Champignon) 50g

製造工程

最も代表的な3時間ディレクト法(ストレート法)の場合で、次のような工程で作ります。

ミキシング:低速8分、中低速0~1分(捏上生地温度23~24℃)
フロアタイム:180分(うち120分でパンチ)
分割
ベンチタイム:30分
ホイロ(温度28~30℃、湿度75%):約60分→焼成:210℃、30~32分(蒸気焼成)